まん延防止等重点措置が解除されましたが、福岡県の感染者数はまだ高い水準にあり、県では4月7日までを感染再拡大防止対策期間として引き続き対策の徹底が求められています。
 一方で、5歳以上11歳以下の幼児児童を対象とした新型コロナウイル スワクチンの接種も順次開始されます。 このため、感染者等に対する誹謗中傷や排除等の問題に対して、引き続き注意を払 うとともに、ワクチン接種に伴う偏見や差別の防止にも十分留意する必要があります。
 このことについて、学校では以下の通知に基づき指導いたしますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

 

  学校における新型コロナウイルス感染症に係る児童生徒等の人権への配慮について

                                   令和4年3月4日
                                   人権・同和教育課
<基本的な考え方>
・ 新型コロナウイルスの感染拡大が繰り返され、生活への影響が長期化する中で、学校においては、明らかな誹謗中傷や排除といった感染症に起因する差別事象は把握されていないものの、人間関係のトラブルの中で「コロナ」という言葉を使用する事象などが発生しており、児童生徒等の間に潜在的な偏見が生じている可能性も考えられる。
不安や恐れの感情が偏見や差別を生み出す要因となっていると言われており、偏見や差別を防止するためには、引き続き、児童生徒等が抱える不安やストレスに寄り添いながら、安心して学校生活を送ることができる環境づくりをしていくことが不可欠である。
・ 一方、職場や地域において新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでおり、学校の中で、ワクチンを接種した児童生徒としていない児童生徒が混在する状況が生じている。
このため、ワクチン接種に関連して、個人の事情や思いに対して配慮のない教職員や児童生徒等の言動が、当事者の心を傷つけ、新たな偏見や差別を生むことのないように注意喚起するとともに、特に、順次開始される幼児児童へのワクチン接種については、保護者の間にも様々な考え方があることに留意することが必要である。
・ 以上の状況に鑑み、各学校においては、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況の認識や対応の留意点等について、全教職員で共通理解を図り、感染症に対する不安から陥りやすい偏見や差別について、児童生徒等が学び、考える機会を設けることなど、児童生徒等の中に偏見や差別が生じないようにするとともに、きめの細かな児童生徒理解に努めることが重要である。

<児童生徒等の人権への配慮>
○ 的確な児童生徒理解
・ 児童生徒等の言葉や表情、態度等から、本人の状況や人間関係に変化がないか注意深く観察し、的確な児童生徒理解に努めること。
・ 学習面、生活面、児童生徒等の間でのトラブル(からかい、いじめ)等の人間関係面において困難な状況が起きていないか、生活アンケートや面談等を通して丁寧な状況把握に努めること。

長期間にわたる生活環境の変化がもたらすストレスや不安等によって、児童生徒等の間でのいじめや保護者等による虐待等が発生しやすい状況にある、という認識に立って、注意深く状況の把握に努めること。

○ きめ細かな相談体制の整備
・ 公的な機関等の相談窓口について周知するとともに、児童生徒等や保護者の不安や困り感に寄り添う組織的できめ細かな校内の相談体制の整備に努めること。
・ 障がいのある保護者や外国人の保護者等に対しては、これまでも災害時等に十分な情報が伝わらなかったり孤立しがちになったりすることが指摘されていることから、連絡や相談に関しては特に丁寧な手立てや配慮が必要であることについて、教職員で共通理解を図ること。

<感染症に関する人権問題についての正しい理解>
○ 偏見や差別の防止
・ 児童生徒等の指導にあたっては、まず、指導にあたる教職員が新型コロナウイルス感染症や感染症に関する人権問題等について正しく理解しておくことが不可欠であり、公的機関等が公表している資料等を活用して、常に最新の知見に基づいて学習する機会をもつなど、職員全体で共通認識を図ること。
・ 発達段階に応じて感染症についての現時点での正しい知識を教えるとともに、からかいや差別を受けた人の思いを想像させることなどを通して、感染者やその家族、特定の地域(国・県・市町村等)への偏見をもたないように指導すること。
・ 指導にあたっては、様々な公的機関等が発表している資料や教材を参考とし、特に、いたずらに不安や恐れのみが印象として残るような内容とならないように工夫すること。
・ 教職員の無自覚な言動が、児童生徒等の間に新たな差別や偏見を生み出すことがあることを認識するとともに、個人情報の取扱いには、十分な配慮を行う必要があることに留意すること。
・ 児童生徒等の人権感覚を育成するうえで、教職員の果たす役割とともに家庭の果たす役割が重要であることから、上記の内容について、ホームページや学校・学級通信等を通して保護者への理解を促すこと。

○ 個別の人権課題に関する学習の工夫
・ これまでの人権学習で取り上げてきたハンセン病等の感染症や外国人、インターネット等に関する人権問題についての指導例等を踏まえ、それを基盤に新型コロナウイルス感染症を関連付けながら指導していくこと。
○ 児童生徒等の不適切な発言等への対応
・ これまでの対応と同様に、「どの学校にも起こりうる」という認識に立ち、事象が起きた場合は、その場で指摘し、正しい人権認識を育むよう児童生徒等に指導する必要があること。
・ 発言等をした当事者の問題にとどまらず、学校が取り組むべき教育課題を提起しているとの認識に立ち、必ず管理職や人権教育担当者等に報告し、学校として組織的に取組を推進すること。

<児童生徒間でのワクチン接種の有無による偏見や差別の防止>
〇 教職員の共通理解
県内においても、5歳以上11歳以下を対象として新型コロナウイルスワクチンの接種が始まるにあたって、児童生徒等の間でワクチン接種の有無による偏見や差別が生じることが懸念されるため、指導にあたる教職員が次の点について共通理解を図ること。
・ ワクチン接種は強制されるものではなく、ワクチン接種を受けるかどうかについては、本人や保護者の判断が尊重されるものであり、差別的取扱いのないようにすること。
・ 児童生徒等の予防接種歴については、他の児童生徒等に知られることのないよう個人情報としての取り扱いに十分留意することは当然であり、偏見や差別の防止の観点からも児童生徒等のワクチン接種の有無を暴露したり、他の児童生徒等がいる前でワクチン接種の有無を言わせたりすることがないように細心の注意を払う必要があること。
〇 児童生徒等への指導
・ 児童生徒等に対しては、発達段階に応じて、身体的な理由等の様々な理由によって、ワクチンを接種することができない人や接種を望まない人がいることを十分理解させ、児童生徒間でワクチンの接種を強いるような雰囲気をつくらないように指導すること。
・ ワクチン接種についても、校内の相談体制を十分に整えること。