子どもの命を守るために、20年ほど前の「立花っ子の素晴らしい姿」を再び!

 私は、教師生活31年を過ぎましたが、そのうち26年間は通勤で立花小学校前を通っていました。
 そのころ立花小学校下の交差点は、横断歩道だけで信号がない危険な状態でしたが、次のような立花小学校の子どもたちの行動がドライバーの行動に変化をもたらせたのです。
 子どもたちは横断歩道に立つと手を挙げて渡る意志を表します。それに気付いた、ドライバーが車を停車させます。子どもたちは手を挙げたまま左右に気を付けながら横断歩道を渡った後、停車中のドライバーの方に振り返って「ありがとうございました。」と言った後、深々と礼をするのです。

 この行動の是非について異論を唱える方もいらっしゃいます。

 「道路交通法第三十八条の中に『横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。』とある。法律で、横断歩道を渡ろうとする歩行者があるときは停車する義務があるのだから、ドライバーはそれに従うべきで、横断する側がわざわざ立ち止まってお礼を言う必要はない。」

 しかし現実には、横断歩道に人が立っていても車はなかなか止まりません。特に朝夕の通勤時間帯は、ドライバーも気が焦っていることが多く、そのため事故発生率も高くなっているのです。

 一方で子どもたちも、「『青信号は、進めの合図』だから大丈夫。」と思っています。

 しかしこれは間違いで、「『青信号は進んでもよいの合図』だから、安全であれば進もう。」となるのが正解なのです。携帯電話等に気を取られた車が赤信号に気付かずに交差点に侵入してくることだってあるからです。

 先日の 校長のつぶやき 「交通安全:昔の立花小学校の子どもはすごかった。その1」6月23日(金)(←クリック)にも掲載していましたが、福岡県警の発表では、7歳児の死傷事故が一番多く、時間帯では登下校中の事故が一番多いのです。

 このような中、子どもたち自らが安全を意識し、交通事故から身を守るために立花小学校では、
「青信号になっても、必ず自分で安全を確認し、しっかり手を挙げて横断歩道を渡り、止まってくださった車の運転手さんを見て、ニッコリ笑顔で『ありがとう』を言って礼をしよう!」
を実行しているところです。

 このようにすることで以下のような効果があると考えています。

 1 子どもは、運転手を意識するようになるため、青信号になっても車が止まってくれているか自分で確認するようになる。
 2 子どもは、手を挙げて横断歩道を渡ることにより、子ども自身が道路を横断している状況を意識するとともに、周りからも認識されやすい。
 3 子どもは、渡り終わり振り返って「ありがとうございました。」と発することにより、渡り終わった意識を持つ。
 4 子どもは、運転手の方を見て笑顔で礼をすることで、“車”という物質ではなく、“運転手”という人を意識するようになる。
 5 運転手は、当然の行為として停車したことに対して、笑顔でお礼を言われることで、自分の行為に対して効力感を感じ停車することが日常化していく。
 6 運転手は、ただの“子ども”ではなく、“礼儀正しい立花小学校の子ども”として認識するため、校区を走行中は特に意識して安全運転をしようと心がけるようになる。
 7 子どもは、将来自動車運転免許証を取得して運転手側になった際に、思い出し安全運転に心がけるようになる。
 8 子どもは、将来自分に子どもができたときに、交通安全意識の大切さを伝えるようになる。

 このように、単に“今だけの安全”から“将来につながる安全”へと広がっていくものだと考えています。

 保護者の皆様の理解を得ながら、子どもたちの将来までも継続する安全指導を行っていきたいと考えていますので、ご理解とご協力をお願いいたします。(校長 安部)